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『コーヒーが冷めないうちに』   [読書 本]




もしあなたが本当に読みたい本があるとしたら、それはまだ書かれていない。
だから、あなたが書くべきなのだ。   (トニ・モリソン)




『コーヒーが冷めないうちに』 川口俊和著/サンマーク出版 (2015年12月6日 初版発行)
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タイム・マシーンもののファンタジーだと思う。文学では掘り下げていき、切実なそこには人生がある。ファンタジーには気楽なスイッチがあり、切実さに対してファンタジーでは緊迫感がイノチ。

コミック全盛時代の手軽なファンタジーだった。グッと来ることはあっても泣くことはなかった。人物の掘り下げが浅く、描写が乏しいのは残念だった。一種のタイムトラベルだが、作品冒頭に取扱説明書めいた約束事が書かれていて、それが本編(4つの章)でも繰り返される。どうしても文章は説明口調になってしまい、惜しいなと思うのだ。

東野圭吾の『ナミヤ雑貨店の奇跡』を読んでひどく気に入ってしまう者にとって、小手先で泣かそうとするのではなく、しっかりと人物を描写し、「感動」へ持って行けば良かったのにと、残念がっている。現在50万部を超えているらしいが、話題作りが上手かったんだろうな。

伏線の張り方に散漫さがある。また、つじつま合わせに強引さもある。伏線の甘さと筆の注意散漫さは、読者の集中力を低下させる。読書人口を増やすための入門書、うーん、それなら東野圭吾のナミヤ雑貨店だ。もしどうしても読むなら、図書館で借りましょう。





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母がまだ三途の川を彷徨っている頃、バスの中で不思議な表現を聞いた。
おばちゃんたちが、「鯉のぼりつってる」と言うのだ。
鯉のぼりは上げるものだと思っていたので、その不思議を姉に尋ねた。


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京阪電車の寝屋川市駅ちかくの川で、この光景があり、それをさしてのこと。
鯉のぼりは姉も「あげる」と言い、「吊る」のは、吊された状態をさしているのだろう。
確かに、鯉たちが吊されていたわな。

吊された鯉のぼり写真を母に見せて、反応をもらえるようになったのはGW明け。
徐々に劇的に変化して行ってくれた。
瀕死の状態から1ヶ月あまり、古巣に戻り、元気になろうぜ。




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