日帰りランチ
この子はなかったことにしよ。
ショッキングな親の会話も、仕方がなかったのかもしれない。
大阪を飛び出して堕ちていく途上、わたしを拾ってくれた宝塚夫妻。
始め、東京は中野区の上高田で引き取られ、人生の生まれ変わり。
苦節十年、新天地へ屯田兵として出向き、北海道開拓の高校教師稼業。
色んな重要な場面で、ほぼ「我が子」として育ててくれたと思う。
私の叔母さん91歳、百か日法要もすでに終え、宝塚にてマンション暮らし。
自己満足なんだけど、たまには激励に行かねばと、日帰りランチに行った。
ある意味で、贅沢なことをしていると思うが、人生だもん。
急に用事が入ったと言われ、いいよと、時間調整を入れた。
久々に、知的生命体のデコッパチでも入れてみるかなって。
散策で1時間余りの時間調整をし、宝塚へ向かう。
七回忌が終わるまで死なれへん、と意志の強さが頼もしい。
そして、死んだら棺桶にあれ入れてな、これ入れてなと語る。
どこまで本気かは分からない。
お葬式の時は、あんたらに心配かけへんように泣かへんかってん。
自分でも、よう頑張ったと思うわ。
それでもだんだん寂しぃなってな、夜は泣いてしまうわ。
ヒレカツを食べていたのだけど、飲み込む時に、のどがジーンってなった。
赤ワインも飲むんだけど、いつもの半分も飲めなかった。
帰る時間が近づくと、途切れなく話し始める。
バスを4本やりすごして、おしまいにした。
また来るわ、元気にしときや、来月は長女も来るみたいやし。
ボクも4月にはまた来るから、またな。
羽田ー神戸、往復ともスカイマークを使った。
帰りの便では、どういうわけか阪神タイガースの応援歌がかかった。
変わったサービスだが、サトウさんに許可を得て写し、目を閉じて何も見えず。
爆睡をした帰りの便だったが、恩義を受けた人間の仁義を通す。
また、月に一回の絵ハガキでも作って出すかな、宝塚に。
ちょっと優しい気分で、今日は妻にサービスをする。
ファイト!