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『一人称単数』   [村上春樹]



10月7日(水)納車=わくわく走るぞ!
10月8日(木)発表=ノーベル文学賞お願い村上春樹様に差し上げて!
10月9日(金)試合=サッカー日本代表 日本 vs カメルーン(オランダ)



今週は個人的に重要事項が集中していて、緊張の時間を過ごしている。
そんな時間に、村上春樹の短編集を、惜しみながら一作づつ読み終えた。
彼が早朝ランの後、午前中をかけて10枚だけ書くという時間を、追う耽読。





『一人称単数』 村上春樹/文藝春秋(2020年7月20日 第1刷発行)
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p148 (「ヤクルト・スワローズ詩集」)
 もちろん負けるよりは勝っていた方がずっといい。当たり前の話だ。でも試合の勝ち負けによって、時間の価値や重みが違ってくるわけではない。時間はあくまで同じ時間だ。一分は一分であり、一時間は一時間だ。僕らはなんといっても、それを大事に扱わなくてはならない。時間とうまく折り合いをつけ、できるだけ素敵な記憶をあとに残すこと、それが何より重要になる。


p205 (「品川猿の告白」)
「私は考えるのですが、愛というのは、我々がこうして生き続けていくために欠かすことのできない燃料であります。その愛はいつか終わるかもしれません。あるいはうまく結実しないかもしれません。しかしたとえ愛は消えても、愛がかなわなくても、自分がだれかを愛した、確かに恋したという記憶をそのまま抱き続けることはできます。それもまた、我々にとっての貴重な熱源となります。もしそのような熱源を持たなければ、人の心は、そしてまた猿の心も、酷寒の不毛の荒野となり果ててしまうでしょう。その大地には日がな陽光も差さず、安寧という草花も、希望という樹木も育ちはしないでしょう。私はこうしてこの心に(と言って猿は自分の毛だらけの胸に手のひらをあてた)、かつて恋した七人の美しい女性のお名前を大事に蓄えております。私はこれを自分なりのささやかな燃料とし、寒い夜にはそれで細々と身を温めつつ、残りの人生をなんとか生き延びていく所存です」



人は運命を避けて選んだ道で、運命に出会う事がある。 (ジャン・ド・ラ・フォンテーヌ)



その読書時間が楽しかった。
読書の中からヒントが派生すると、自分の物語も生まれそうになる。
少しばかり不思議な感じを残しながら読み終えることが出来た。

ファンだけが楽しむ世界かもしれないけれど、面白い感覚をいま抱いている。
5枚と短くていいから懸賞童話に毎年応募しているけれど。
自分の中にある短編小説を書いてみようかなと、そんな気になる読書だった。

最近、時間の共有と記憶が、いかに大切かとおもうようになった。
確かにあった過去の時間を、読者を一人に限定して、短編を作ろうと思った。
お年を召したキャプテンに、17歳の狂気の時間を、恋にして、読んでもらう。

そういう妄想が生まれる読後感である。
むしょうに何かを形作りたい衝動が生まれたのは、私だけではないと思う。
誰にだってあのときや、あの時間があるのだからね。




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アマチュアカメラマンが集結する寺ではない、江戸側の土手。
引っ越してきた一昨年は見なかった場所に、咲き始めている。
種ではなく球根だから、人為的に咲き始めたのだろう。

モグラに穴を掘られて土手が崩れないように、毒をもって制す。
そこまで深くは考えずに、誰かがキレイだろうと、咲かせたのだと思う。
私たちに必要なのは、規則正しい散歩と、思索のための正座。




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散在する花は接近して、あるかのように見せよう。
「握りこぶしの中に あるように見せた夢が 遠ざかる」のは、中島みゆき様。
不思議な気分のうちに、形を見つけておこう。

そして決して舞い上がることなく、落ち着いて落ち着いて、ハンドルを握ろう。
隠したってその嬉しさは、顔に出ているのだと思う。
だって、傑作は裏切らない、だもん。




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GoToイートで、セコイ話を聞く。
鳥貴族に予約して1品だけ頼んで、払った額より多いポイントを貰う。
そんなセコイ人間には絶対にならない、武士は食わねど高楊枝。

割引をしてもらえるなら喜んで割り引いてもらう。
ただし、それ以上に使って差し上げようと、思う。
だって今は、使うために出向くのだからね。

鳥貴族に予約まで入れてセコイ真似する連中とは付き合わない。
基本的に体質が違うように思えるのだ。
まあいいや、晩節を汚すことなく、せめて最期は清く正しく可愛く終わる。



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