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『文明の衝突』 ハンチントン   [読書 本]



長女が学部時代に、Huntington, Samuel P.の『The Clash of Civilizations and the Remaking of World Order』を教材に議論を重ねた授業があったらしい。ああ、ハンチントンやんか、と知ったかぶりでチチは言うが、長女に言わせると、あれは一つの見方で、あそこから議論が重ねられた、という意義は認める、というようなことを言われた。


少なくとも、大前提としての重要な前提は共有できるだろう。 → (p34) 
単純化したパラダイム―すなわち地図―は、人間の思考と行動に欠かせない。




『文明の衝突』 サミュエル・P・ハンチントン/集英社(1998年6月発行)
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p317
 紛争は相違の産物である。とくに、イスラム教徒はイスラム教の教えは生活様式であって宗教と政治は一体だと考えるのに対し、欧米のキリスト教徒は宗教と政治は異なった領域だと考えている。だが、紛争は両者が似ていることから起こることもある。どちらも一神教で、多神教の宗教とは異なり、新しい異教の神を簡単に信じることができず、どちらも世界を二元論、すなわち我々と彼らという形で捉える。どちらも普遍的で、すべての人類が信仰できる唯一の正しい信仰だと主張する。どちらも伝道を主張する宗教で、信奉者はこの唯一の正しい宗教を信じないものを改宗させる義務があると信じている。その起源から、イスラム世界は征服により拡大し、キリスト世界も機会さえあればそうしてきた。


p352
統一された強力で独断的な中国は脅威になるかも知れない。


p355
歴史的に見ても、中国は国内問題と海外にかかわる問題の間にあまりはっきりした区別をしなかった。彼らにとって「世界秩序とは中国の国内秩序に付随するものでしかなく、したがって中国の文明的アイデンティティを外部に反映したものであり」、それは「正しい宇宙の秩序と同じように、中心を共有するより大きな空間としておのずから再生するものと考えられてきた」。あるいは、ロデリック・マクファーカーはこう指摘している。「世界に対する中国の伝統的な見方は、注意深くつくられた階層主義の社会に関する儒教的な見方の反映にすぎない。外国の君主や国家は中華帝国の進貢国だと見なされていた。『空に二つの太陽はない。地上に二人の皇帝はいない』」。


p367
東方正教会諸国や東方正教会の信徒が圧倒的に多い地域では、ロシアが中心になって安全保障することを西欧が認めることは出来るかどうか。


p394
セルビア人はコソボを自分たちの「聖地」あるいは「エルサレム」と見なした。1389年6月28日の大戦の史跡地だと考えていた。その日、彼らはオスマントルコ帝国に敗れ、500年にわたってオスマントルコの支配下に入ることになったのだ。





泥沼の中で個人としては、文化交流にいそしむしかないと思っている。


ファイト!




21世紀の資本・景気   [読書 本]




ソルボンヌ大学とも聞いたことのあるパリ大学ソルボンヌ校、優秀な頭脳が集まる大学と聞く。
パリのお婆ちゃん宅の近くにあり、いくつかある地下鉄の最寄り駅からの途中にある。
おそらく文教地区と呼んでいいのかもしれないが、書店も多い。



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(テロ=新聞社襲撃事件直後だから半旗になっている)





この向かいにある書店で、長女に本を1冊買い、それを課題図書と名付けた。
21世紀のシフォンケーキならぬ、21世紀の資本。
長いのを読むの面倒だから娘に読ませて、解説を受けようという、娘から学ぶ作戦。


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ところが著者は日本語版の売り込みに来てしまって、あちこちで解説や講演。
先週にはクローズアップ現代でゲストとして質疑応答と解説。
また、前回の「そこまで言って委員会」では訳者が出ていて解説をするという集中講義。
まあ基本は、娘に押しつけて勉強させようというのがホンネだから、損はない。
日本語版は6000円近いが、仏語軽装版は4000円しなかったように思う。




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ちなみに、本屋さんの近く、大学正面には、素敵なおじさんが座っていた。
たしかに、オレに微笑みかけたような気がしたのだった。

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日本で仏語の本を買うと高いから、そう言って娘は巴里に戻りたがる。
私はワインを安く堪能するために、舞い戻りたい。

貯金では、届かない世界がある。しかし景気回復に便乗する強運を行使しよう。
強運は、知識と情報が運んでくるモノだから、勉強せえー、とチチは言うのだよ。ホントだよ。


ファイト!





「ニッポン社会」入門   [読書 本]



『「ニッポン社会」入門』 コリン・ジョイス/NHK出版 (2006年年12月10日 第一刷発行)

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インフルエンザの予防注射で今医院に行った折、待合室で、病院にあった本を読んでいた。
文藝春秋の先月号で、短い時間にはその巻頭言を読む。
基本的に何でこんな下手くそなと思う文章が並ぶことも多々あるが、終盤には光る。
塩野七生の文章で、これは機会あるごとに立ち読みしている。
検温のさなかに読み終え、体温は35.7℃だった。
初の36℃割りに驚きながら、そこに記載された書名をメモした。

取り寄せてみたら、カバーに曰く、
『文藝春秋』で塩野七生氏絶賛 大反響 10万部突破、とある。

信頼筋というのがあって、3S
飲食に関しては、友だちのS(鈴木)の言うことを聞き、外れたことはなく、どれも美味い。
ワインに関しては、同僚のS(菅原)の言うことを聞き、違いが分かりかけている。
歴史と男とこの国の見方に関しては、S(塩野)の影響を受けようとしている。

その塩野七生が言うのだから、読もうと思うのだった。
まあ、好き好きで、新書の軽さから言えば、電車の中で笑い続けたのだから良かった。
半分は大いに笑えたし、そうだよなぁ、と妙に納得していた。
外から見るとそう映るんだよな、とか、そういう見方をしているんだ、ということ。
物凄く勉強になるわけではないけれど、少なからず楽しめる、立ち読み必見の本だと思う。

翻訳も、わざとたどたどしい日本語にして、雰囲気を出したのかな。
自己完結した観察と語り、枕草子みたいな視点もあり、いとをかし。



長女には英語版を送った。曰く。
イギリス人の日本観察の本、読み終わりました。表現がとてもイギリス人っぽかったです。プールの話は読みながら笑ってしまいました。
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福岡で、家族5人の食事なのだけど、少しだけこの話題となる。
長女が読み終えたから、原書は鹿児島に移動し、次女、三女の課題図書となる。
しかしその前に、日本語の方を渡しておくか。
三女なら、1時間もかからないで読み終えてしまうだろう。



なんなんだ   [読書 本]



なんなんだよ


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市営住宅押し入れに女性の遺体…「子供の友人」
(2014年08月15日 13時53分 Yomiuri Shimbun)
 14日午後11時45分頃、愛媛県伊予市の市営住宅(4階建て)の住民から「3階の3号室で女性が暴力をふるわれている」と県警伊予署に通報が入った。◆署員が調べたところ、和室の押し入れの中で、10歳代後半ぐらいの女性が毛布をかけられた状態で死亡していた。3号室には無職女性(36)らが住んでおり、この女性は「遺体の女性は子供の友人」と説明している。同居していたとの情報もあり、県警は死因を調べるとともに、死体遺棄容疑で捜査している。◆発表によると、遺体には目立った外傷はなかったが、顔に数か所、殴られたようなあざがあった。死後数日とみられる。無職女性は、長男と娘3人の5人家族。3号室には4部屋あり、遺体が見つかった際、部屋には長男の友人が数人いた。県警は無職女性らから事情を聞いている。◆近くの住民らによると、遺体で見つかった女性は約1年前から3号室に来るようになり、最近は一緒に住んでいた。友人とみられる若い男女も頻繁に出入りしていたとされる。

不可解ではあるが、こういう群れ方が増えているのだろうと思う。
家族の形がいびつになり、群れに変化が起きるのは、求心力を失ったからだろうか。
捨て猫の群れが社会を形成するはずがなく、負の遺産へと肥大するのみ。
この手の群れ方には、全く共感できないし、迷惑でしかない。




課題図書のついでに1
『宙ぶらん』伊集院 静/集英社(2006年2月28日 第一刷発行)

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二人目の奥さんが夏目雅子で、三人目の奥さんが篠ひろ子だから、当然、好きではない人だ。だから、読むのは今回が初めてだった。腰巻きに、「物語の『味』を楽しみたい方に贈る10の掌編」とあり、楽しもうかと思ったが、我が吉行淳之介に軍配は上がった。

しかしそれでも、立教大学野球部に入学しただけあって、野球に関する情熱はあって、「魔術師・ガラ」は面白かった。しかし、それだけであった。図書館で借りて良かったと思う。

東野圭吾を断つための、口直しにしたかったけれど、さらに東野圭吾を求める羽目になってしまった。学校図書館には限られた数しか東野作品はないのだが。困ったものだ。


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