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『君たちはどう生きるか』   [映画]


始発から終電の2泊3日の大阪遠征をし、夫婦で疲れている。
最終日の午前、予定していた作業がキャンセルになり、空いた時間。
5時から3時間の散歩を終えてホテルに帰り、空白の時間をどうするか検討。

ホテルから歩いて8分のシネコンで、映画を見よう。
封切りしたばかりで、事前情報なしと話題作りも旺盛だし、行ってみるか。
ということで、話題作を見に行く。




『君たちはどう生きるか』
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■ 作品データ
 制作年/2023
 制作国/日本
 内容時間/124分
■ 解説 宮崎駿監督が「風立ちぬ」以来10年ぶりに手がける長編アニメーション作品。宮崎監督が原作・脚本も務めたオリジナルストーリーとなり、タイトルは、宮崎監督が少年時代に読み、感動したという吉野源三郎の著書「君たちはどう生きるか」から借りたものとなっている。


原作は読んでいた。
だから映画とはほぼ無関係と、すぐに分かった。
おそらく、原作の影響を受けた監督が、彼の意識を描いた作品なのだろう。

そもそも、大上段から問う、「君たちはどう生きるか」は既に哲学である。
この作品は、知性の冒険の旅だったのだと思う。
だからこそ、見終わった感想や反応は真っ二つに分かれると思う。

私は、いま見て良かった、後半にかけて三度ほど泣いた。
それは今を生きている自分が抱えてる大問題に関連しての泪。
自分に欠けてしまっていて、修復を試みる上での泪。

終わりを目前にしてこの問いは厳しい、君たちはどう生きるか。
すくなくとも、醜い老人の醜態は晒すまい、子どもに迷惑はかけない。
でも、それは生きることではないんだよ、どう生きるんだ。

文字を追う作業を、潜在意識を働かせて、神経回路を映像化したアニメ。
自分も知性の冒険の旅に出ることが出来るはず。
思索こそ、萎縮しゆく前頭葉の欠損を、せめて補えうることへの希求。




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面白いことにエンディングクレジットが終わるまで立つ人がいなかった。
おそらく何かヒントを探そうとするのだろう。
誰が誰の声役で登場したのか、詳細は不明にして。

それでも、木村拓哉、柴咲コウ、木村佳乃の役割は分かった。
火野正平も出てたんだ、菅田将暉もと思い知り。
菅田将暉は芸達者で、作品中重要なアオサギを熱演していたことに舌を巻く。

少年の、知性の冒険の旅だから、水先案内人が必要。
それが嘘つきで誤魔化しも多いという人間性を兼ね備えたアオサギとして登場。
そう、聖人君子なんていないの、よごれちまって、それでも求めて生きるの。

踏み出す勇気の形、とどまる勇気の色、見たね。
二度と出会うことのない戦友、再会すらなく記憶の闇に消えゆく。
思い出なんか残さないで、あばよ、それでも潜在意識に焼き付くものだ。




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早朝から暑いと思いながら、暑くなると確信しながら歩いた。
被写体の多さ、大阪駅北口から西口にかけての再開発の馬力に驚いた。
西口にはヘルメットを持ち、扇風機付きワークマンのブルゾンを着た人の群れ。

KITTEを建築中の建設作業の方々の、仕事着での出勤姿に驚く。
大阪駅西口改札から、どんどん歩いてくる男性、女性のワークマン姿。
私もあの扇風機付きのブルゾンを買おうかしら。




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LINEを寄越した教え子がブログを書いているというので見に行きました。
遡っていけば、あらら、私とおぼしき人物のことが書かれている。
えー、オレ、君の先輩に、情熱大陸で紹介される予定なんですけど。

先ほどの現代国語の解き方の話に関連して、日本語もルールがわかればキーワードを抜き出して要約することができるようです。高校時代の国語の先生がそんな風なことを言っていた気がします。◆私の高校時代は運よく国語をわかりやすく教えてくれるtommy先生に当たりました。tommy先生の人柄については中々パンチが効いている方で、この体罰が問題視されるご時世によくそんな脅迫まがいなことしますね、と思うような恐ろしい人でしたが、「考える葦」についての解釈を話しており、常に本質を見極めて、考えることを止めるなという言葉を私に与えていきました。 (後略)


教え子くんは、この後、恐ろしいことに私の授業例を提示します。
まあ、なかなかエエじゃないのと思いながらも、影響を与える怖さと責任を感じます。
文章はね、死ぬためにあるのではなく、生きるためにあるんだと教えたつもりですが。

暫く彼のブログを観察しながら、ドキドキすることにします。
彼ももしかすると、知性の冒険の旅に出たのかも知れません。
文章を書くということは、自分を語ることであり、生きるということです。

なーんて、卒論ゼミのN教授のセリフの受け売りです。
私たちは言葉で人を傷つけ、傷つけられ、それでも言葉を使って自分を掘り下げる。
思索の旅は続けなければなりません。




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