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『コーダ あいのうた』   [映画]



正確な情報を集める。
バカには近づかない。
美味いワインを飲む。



繰り返される時間の中に少しでもそよ風を。
今日を昨日と同じ日にしないために、静かに考える。
静かな時間の中で、よく考える。

静かな時間の中の、大切な映画の話を書いた。
すでに去年の映画だから、見た人も多いだろう。
おすすめとして、家族のブログから転載。


コーダCODA コーダ(CODA / Children of Deaf Adults)とは、耳が聞こえない、または聞こえにくい親のもとで育つ子どものこと。両親とも聞こえない場合も、一方が聞こえない場合も当てはまる。◆ コーダは手話と視覚に基づく「ろう文化」と、聞こえる人が前提としている「聴文化」を行き来しながら成長する。2つの文化の違いに適応していく過程で悩みや問題を抱えることも多い。




『コーダ あいのうた』
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■ 作品データ
 原題/CODA
 制作年/2021
 制作国/アメリカ/フランス/カナダ
 内容時間(字幕版)/112分
 ジャンル/ドラマ・ラブロマンス/青春

■ 第94回(2021) アカデミー賞 受賞
 ・作品賞
 ・助演男優賞 トロイ・コッツァー(父親役)
 ・脚色賞

■ 解説 第94回アカデミー賞で栄光の頂点、作品賞を含む3部門を受賞した話題の感動作。聴覚障害者の両親・兄と暮らす女子高校生は、自身の歌の才能と家族との間で板挟みに……。 海に面したマサチューセッツ州の小さな町、グロスター。漁業を営む父親フランク、母親ジャッキー、兄レオと暮らす女子高校生ルビーだが、ほかの3人と異なり自分だけ聴覚障害者ではなく、家族の耳代わりを務める毎日。憧れの同級生と同じ合唱クラブに入部するが、顧問の教師はルビーに歌の才能があると言い、ボストンにある一流校、バークリー音楽大学への受験を勧める。だがルビーがいないと家業に困る彼女の両親は猛反対し……。



昭和の日本でも、農村部では大学進学より家業を継げ。
あるいは、平成時代の北海道でも、本州への進学は諦めろ。
そういう閉鎖性が呪縛のように取り巻く世界が嫌いだった。

アラビアのロレンスで言う、運命は開拓するものだ、を支持する。
人間が持つ可能性を、自立した個人の未来を閉ざす圧力は好まない。
しがらみと言い、そういう稼業や、家族の束縛も好まない。

隠して何かをするのでは無く、説得に努める。
家族なのだからこそ再三の説得をして、決裂すれば、家を離れれば良いのだ。
そういう身軽な家族は良く、しかし、障害者の家族の鎖は厳しい。

親の代わりとして、小さい頃から通訳や電話応対を担うCODA。
親からのほぼ強制を断ることへの、家族としての罪悪感。
精神的な負担が大きすぎるCODA、諦めの上に家族があるつらさ。

色々と考えた映画だった。
自分は楽な人生を選ばせて貰っている。
子どもたちも、おそらく、不自由は少なく生きているのだろう。


家族役の両親と兄は、実際に聴力のハンディの持ち主だった。
映画の途中で、手話に字幕の無いシーンがあったが、鬼気迫る感情を受け取った。
両親と兄が発生させる雑音を無神経とは言えないが、同居は苦痛だろうなと思った。


主人公が高校の舞台で歌う終盤、沈黙の中に感動を覚えた。
一切の音が消え、両親がキョロキョロと聴衆の表情を見ながら探る。
娘の歌を聞く聴衆が泪するのを見て、娘が音痴では無いと安心する両親。

卑屈な障害者では無く、ユーモアだらけの家族だった。
どんな状態でも、明るく笑顔満載の家族は素晴らしい。
果たして自分はそんな家庭が築けたかというと、オレひとり足を引っ張っていた。



遅ればせながら先日、妻と見て、久々に静かな感動を覚えました。無音のコンサート時間、その直前の両親の落ち着きの無い行儀の悪さ、効果的な手法を使っていました。落ち着きが無いと判断するのは健聴者の視点。手話の字幕が消えても、熱情の爆発した手話は、何を言ってるのか理解出来ました。面白い手法を駆使した佳作ですが、アカデミー作品賞ですからね、評価は得ています。母親役の方は実際に聴覚障害者であり、映画初出演でアカデミー主演女優賞を取っていました。力のある人がきっと、楽しく、あるいは充実した撮影時間だったと思います。巨額を投じる「これでもか映画」とは違って、たまにはこういう静かな感動を手にしたいものです。



正確な情報を集める。
バカには近づかない。
静かな時間を過ごす。




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