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『くるまの娘』   [読書 本]


とても長い一週間だった。疲れた。もう何も出来ない。
精神的にも脳みそも、精いっぱい振り絞ったので、連休明けから休む。
カラダ作りは順調だけど、お仕事を片付けるのに追われました。

まあ、よく勉強したし、少し物事も見えてきた。




『くるまの娘』 宇佐美りん/河出書房新社(2022年 5月30日 初版発行)
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信頼するブランドがあって、小説界では、龍、春樹、詠美の我が御三家。
その山田詠美が腰巻で「これはもはやブルース!」と謳うのだから、読む。
読み始めて、なんじゃこれ、同人雑誌かと嘆いてしまった。

そうだ、純文学なのだった、形式的な気取りはカタチだ。
新しい若手の触手を拝見だが、文体は生理的に合わなかった。
それでも、最後まで読んで思うところはあった。

家庭や家族に辛い思い出がある者にとって、これは重い。
私は子どもたちに、逃げろと教えていて、逃げるべきだと今でも思う。
御身大切に、だが、主人公は逃げない、受け入れてしまい、生きる。

p122
親は捨てるものだと、大人たちは言いふくめた。あなたの人生を生きなさい。あなたが背負う必要はない。かんこの話を、かんこの側から聞くから出る言葉だった。かんこは、自分の被害についての話は、流ちょうに喋った。だが、自分が加害した記憶については、実感がほとんどないのも手伝い、うまく話すことができなかった。だからことごとく的外れだと思う答えしか得られなかった。返答につまった。


父親による体罰、言葉の暴力、母の脳梗塞による麻痺、酒乱。
家族が、日々を笑顔で忘れていく過去には、毎日、感情が閉じ込められる。
解決の糸口もなく、ある意味でこういう家族は、新時代の軋轢としてあるのだろう。

言えることは、これからの時代、カウンセラーが要望されるのだと思う。
社会が病んで、家庭が病み、家族で処理をするにも手が打てない。
何とか今日まで生きて来て、自分はラッキーだったなと思う。




■ 家族のかたちが変わり始めたと雨に吠える
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かつてエマニュエル・トッドが、「❝家族❞という日本の病」を語っていた。
既に私の記憶にあるような「家族」はもう、なくなっているように思う。
新しい価値観を手にすることなく21世紀に入った日本、混乱は増すのだと思う。

親を捨てられず、社会制度が整わず、忍耐だけが美徳の世はおかしい。
おそらく昭和生まれの頭では、理解できない社会になっているのだろう。
余計なおせっかいはせずに、黙って見守るしかない。




■ 菌活を始める季節が来た
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シメジが安定的に安くて、活動を始めている菌活。
あさりの旬は春4~5月と秋9~10月、いた・だき・ます。
あさり、しょうが、シメジ、食欲の秋を開始するのでした。




■ COTEN RADIO が面白い ふたたび
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ロシア戦争、資本論、ウクライナ侵攻と聞いて、第1回に戻った。
もし、1回目から聞いていたら、この喋り方や軽薄さに、聞き続けはしなかった。
2018年12月の開始から、最近まで週に2回、喋りも上手になったし配慮もある。

おそらく山道散歩と移動の時間を使って、年内には全て聞くと思う。
以前読んだ『LISTEN』の監訳者、篠田真貴子さんが番外編のゲストだった。
再び聴くことの大切さを学び、新しい感性に触れたと、老害オジサンは思う。




■ 新しい時代が確実に始まっているが オレも乗るよ
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【イメージの詩/吉田拓郎 より

古い船には新しい水夫が
乗り込んで行くだろう
古い船をいま 動かせるのは
古い水夫じゃないだろう
なぜなら古い船も 新しい船のように
新しい海へ出る
古い水夫は知っているのサ
新しい海のこわさを





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ファイト!(62)  コメント(12) 

ファイト! 62

コメント 12

とし@黒猫

生きてさえいれば、何でも挑戦できますよ。
訳のわからない難病で、意図せずに怪我したり死んだりする理不尽は耐えられそうもないのです。
by とし@黒猫 (2022-10-09 01:01) 

あるいる

詠美姐さん、「ジェントルマン」の頃から少しヤキが回って来たのかも要注意やなと、勝手に決めています。
「これはもはやブルース!」は彼女らしい比喩ですが、けっして褒め言葉ではない苦肉の策だと、これまた勝手に決めました。
宇佐美りんさん、図書館でパラパラと流し読みして本は棚に戻しました。
ただいまのところ、食指が動かずご縁がなさそうです。
世界に誇る名作との評価が高い小津監督の「東京物語」や彼の作品群、ちょっと経路は違うけれど山田監督の寅さんシリーズ、そこに登場する日本的家族の姿ですが、描かれる人間たちの底流には個人の力ではどうしようもなく現実を受け入れるしかない姿が静かに描かれていると勝手に決めているのです。
自由気ままに生きているように見える寅さんも、家族のもとにときおり戻っては、無意識の中で家族を捨てきれずに、一騒動起こしてはまたフラリとひとり出て行くのです。
家族に対する身勝手な予定調和の甘え、社会が病んでいる現代ではますます強くなって行くのかもしれません。
アメリカ映画やヨーロッパの映画を見ていても、そう思う今日この頃です。
そう云えば、龍さんの新作、ちょっとご無沙汰です。
いつ出るのかな、です。
気がつけば、龍さんも春樹さんも詠美姐さんもすっかりじいさんばあさんの年齢になってるんやなぁと、シミジミです。
と云うことは、僕も・・・永遠の青年ではいられません。


by あるいる (2022-10-09 04:52) 

HOTCOOL

家族のかたちが変わってきたのは、ジェンダー平等とかLGBTQとか昨今の流れも関係しているのかな。
菌活いいですね。私も真似しようかしらん。
by HOTCOOL (2022-10-09 06:45) 

英ちゃん

東京駅の周りは結構高層ビルが多いね(^_^;)
そう言えば2027年に日本一高いビルも出来るらしいけどね(;'∀')
しめじは私は良く買います(ぶなしめじですが)。
by 英ちゃん (2022-10-09 12:25) 

Lonesome社っ長ょぉ〜

「形」というもので物事を表現することがますます出来なくなってきた
この世の中、よく言えば多様化、悪く言えばよー分からんケッタイな世界。
あのね、とミーシャのように語りかけてカタチを教えてくれるAIなら
耳を傾けてみようかなとも思うのですがね。
読みかけの一冊を携え山荘へやって来ましたが、この時点でまだページは
進んでません。ブ活がひと段落したら妻へPC席を譲りソファで読み
始めることにします。
本来なら退院後1~2ヶ月は山荘でのんびりやろうと目論んでましたが
そうは問屋が卸さず、ああ俺は本当に元気にやってるんだなと実感
させられる毎日です。休みを見つけてはこうして山荘へやって来る
以前と何ら変わりのない生活を送れています。
ここは長野県ですからキノコの類は実に豊富で、スーパーには見たことも
ないキノコが沢山並んでいます。病と闘い続けるため菌活は以前にも
増し頻繁に行っています。

by Lonesome社っ長ょぉ〜 (2022-10-09 14:06) 

kome

雨の東京駅、いいですね。
ブルースといえば、一般の方々の投稿による本当の物語、ライフタイムブルースがとても気にいってます (J-wave)。
https://www.j-wave.co.jp/original/lifetimeblues/
by kome (2022-10-09 17:17) 

向日葵

「汝、星の如く」がようやく読めそうです。
「くるまの娘」も「次」の予定でしたが、あまり・・なのかな?
今読んでいる介護関係の本が、ノンフィクションの事例が多い
だけに読み飛ばせなくてー。時間が掛かっています。
雨にけぶる東京駅。季節が通り過ぎて、まるで「冬」のようですね。
冷凍庫を使ったお鍋のお手軽準備。拝読しました。
ナイスアイデア!!早速真似してみます!!
by 向日葵 (2022-10-10 01:59) 

kome

rakikoの検索窓でライフタイムブルースで検索(番組の前置きが流れていてこっちの方が好き)
または、スピナーというので聞けます。
https://spinear.com/shows/lifetime-blues/


by kome (2022-10-10 08:40) 

青山実花

家族の形は変わっているのに、
旧態依然とした考えを変えられない世代が
それを理解できず、
若い世代との軋轢を生んでいるように感じます。
私の周辺の話ですが。
by 青山実花 (2022-10-10 09:13) 

ナツパパ

家族のしがらみは深くてきついです。
老母との暮らしで一瞬そう思うこともあります。
でも、そうやって育ってきちゃったのでねえ。
by ナツパパ (2022-10-10 09:44) 

そらへい

>古い船をいま 動かせるのは
古い水夫じゃないだろう

私たちの若い頃は、この思いに捕まっていましたね。
新しくて古い、
永遠に巡って行くのでしょうが、その狭間で
我々は生きたり悩んだりしているんだと思います。
by そらへい (2022-10-12 20:07) 

Inatimy

「家族だから」って言葉が意味するものは奥深く、時には重い気がします。
忍耐の他に、目の前のことでいっぱいいっぱいで、ちょっと先のことすら考えられないのもありますよね・・・。
by Inatimy (2022-10-14 06:06) 

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