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凱  第18号/平成23年7月14日(木)発行   [学年だより]

卒業まであと961日


蒸し暑い季節の中で 迷わずに進め という
 3月11日以降よく聞いたセリフに「自分たちが今できることは何か考える」というのがあります。このセリフを使えば、「自分は被災地の方々に思いを巡らせている」という免罪符にもなり、また、真っ向から否定する者もいません。だから、心地よくなって多くの方が使ったのだと思います。子どもたちまで、真似をしていました。

 5月頃がピークだったと思いますが、6月にもその言葉が消えることはありませんでした。高校生も大学生もそういう言葉を使い、それを聞くたびに思ったことは、考えるまでもなく、学生諸君のできることは勉強しかないじゃないか、ということでした。

 大学生には、ボランティアも大事ではあるが、それもやった上で、大いに勉強をしてもらいたい。なぜならこれほど甚大な被害を受けた地域を復活、復興させるには、古い頭、古い体質ではとうてい無理で、しかも10年の時間がかかることはわかりきっている。だから、10年かけて役に立てるよう、大いに勉強をして欲しい。子どもたちに対していつでもそう思い、我が子には、役に立つ人間となるよう、もっともっと勉強しろと命じているのでした。

 本校でも4月には生徒会が動き、多くの義援金を集めました。よく働いたと思います。そのお金が、東北の被災地で役立っていることを願いながら、違うことも考えます。学校祭で爆発させた莫大なエネルギーは、雲散霧消し、今はどこに消えたのだろうか。学校祭を否定するつもりはありません。しかし思うのです。エネルギーがもっと違う使われ方をすれば、何か大きなものが、生まれたのではないでしょうか。

 勝手に大騒ぎをして蒸し暑い空間を作り、若者たちは何を追い求めたのでしょうか。まねごとの集積を、青春と呼ぶのでしょうか。熱そうに見えて、線香花火のような思い出。既に、東北も梅雨明けの声が聞こえ、30℃に迫る気温、私たちが「クラコレ」と称して二日間を過ごした、同じような体育館に段ボールを敷いて、避難生活をとっくに100日以上暮らしている人々が、確実にいる。「自分たちが今できることは何か考える」というセリフは、どこへ行ってしまったのでしょうか。

 子どもたちのために裏で支えた生徒会担当の先生方がどれだけ大変だったか知っています。もちろん生徒会執行部の諸君が、大変な思いをしていたことも断片的に知っています。あるいは、担任の先生方のご苦労も、バックアップしていたPTAの方々の大変さも理解します。ただ、エネルギーの方向のことを考えて惜しんでいるのです。

 私たちは今、死にものぐるいで働くべきなのだと思います。今回の大災害で犠牲となった人たちへの哀悼の意を忘れずに、さらに過酷な避難生活が続く人々と、その支援を買って出ている人たちの忍耐と献身に敬意を払いながら、自らの現場で、懸命に働くべきなのだと思います。

 学校祭の翌日7月10日(日)、学校の中を歩きました。全26クラスの教室を見て歩きました。2年5組だけが、「何もなかったかのような」教室でした。今すぐにでも授業が始められる教室でした。こういう教室は、切りかえがうまくできたクラスだと思います。学校祭のエネルギーを次に向けて、しっかりと切りかえができるなら、目標に向かってギアチェンジがいともたやすくできてしまうことでしょう。

 学校祭を終えて既に4日間が過ぎました。私たちの学年は、上手に切りかえができたでしょうか。残念ながら、一部のクラスを除いて合格点をあげることはできません。学校祭で使用した物が部屋の片隅にあったり、遅刻する者が居たり、ベルが鳴っても廊下にいる者、教室の自席に着いていない者、そういう連中が居る限り、集団が崩れていくのです。今は、しっかりと切りかえができたのか、それが試されているのです。

 子どもたちは実は大人の鏡です。すぐに「打ち上げ」をやりたがる。本当の創造的な活動を経験したことがなければ、打ち上げの醍醐味も分からないのだと思いますが、安直に「楽しそうな物」を手に入れるには、恰好の方法だと思います。「みんなで何かをした気分」を共有するのもいいけれど、もっと自分を見つめるべきではなかったのかと考えます。それこそ「自分たちが今できることは何か考える」ということです。

 私は大人のまね事が悪いと言ってるのでも、その産物である「打ち上げ」が悪いと言ってるのでもありません。ただ、みんなで集まって一人1000円出して飲み食いをして、江別市の経済活動を活性化させるのも良いことでしょうが、もしも今年、誰かが「打ち上げを辞めてそれを予算に何かをなそうではないか」と動けば、学校全体では100万円近い活動資金が集まるのです。救援活動としての小さな事業が始められる。

 学校祭は終了しました。莫大なエネルギーを消費しました。たくさんの時間を使いました。たくさんのお金も使いました。たくさん食べもしましたね。消化し、消費し、浪費し、排泄し、雲散霧消。この嵐のような期間に、子どもたちは何を手に入れたのでしょうか。どう成長したのか、見守っていきたいと思っています。

 週末には高校入学後、初めての模擬試験があります。戦う相手は全国。どこまで食い下がることができるのでしょうか。切りかえがシッカリできている人はブレることはありません。学校祭期間中も揺るぎない姿勢で学習時間「3(学年+2)時間」を確保した人は、青春浮力の法則に従って絶対に浮上します。そして、やらなかった人たちの失速も目に見えています。だからこそ目を覚まして目標に向かって進みましょう。

24期卒業生が北大で新渡戸稲造賞を獲得した
(新渡戸稲造賞=新渡戸賞は優秀な学生を育成することを目的として平成17年に設けられた顕彰制度で,学部1年次における学業成績が優秀で,他の学生の模範になると認められる2年次生に対して,奨励金20万円が給付されます。/北大HPより)

 24期(昨春卒業)の連中に言い続けたことは、「勉強すれば金になる」でした。三好さん[文学部]と、村上さん[教育学部]が獲得してくれた名誉を、28期諸君にも受け継いでもらいたいと思っています。勉強を休まない。何も学ばない日を作るな、です。


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