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東野圭吾にハマって 31   [東野圭吾]




東野圭吾にハマって 31
『さまよう刃』 東野圭吾/朝日新聞社 (2004年12月30日 第一刷発行)
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ある程度、集中的に東野圭吾作品を読み続けていて、ちょっと頭が悪くなるのではないかと思い、パリへは司馬遼太郎の文庫本を4冊持ち込んだ。さすがに読むスピードは低下したが、パリと移動飛行機内で、なんとか4冊を読み終え、成田で長女に渡して別れた。

司馬遼太郎の文庫4冊は『世に棲む日日』で、吉田松陰と高杉晋作が中心となる作品であった。歴史が大転換する後半2冊はさすがに読むスピードも上がったけれど、東野圭吾の作品となると、さらにもっとスピードが上がってしまうのだった。それを筆力というのかも知れないけれど、「ナゾ」を埋め込みながら話が進むので、ついついドッグレースの犬のように、読みが走り出すのだと思う。

さて、また、暫く期間を置きながら東野さんとは付き合おうと思う。エンターテインメントなのだから、疲れをほぐしたい時や、集中できない場所での、待ち時間に読み続けていくのだろうと思う。そういう距離で彼とはまだ付き合っていこうと思っている。妻のように100冊越えをするのは来年以降の話。

これは、週刊朝日に連載だったようで、緊張を維持させる進み具合だった。ただ始まりの、娘が陵辱されていくシーンは、週刊朝日での許容範囲なのかと思ってしまったが、「お父さん」の怒りを維持させ、読者に共鳴させるにはここまで書くしかないのかな、と思いもした。

東野圭吾は、少年法に隠れて逃げ切る凶悪犯少年らに、被害者の視点で相当腹を立ているのだろうかと思えるほど、かなり扇動的な作品だったと思う。自分が父親なら、もちろん、絶対に、より残酷な方法で報復する。善悪の問題ではないな、と思うのだった。



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週刊新潮は本日発売だから、四ツ谷駅キオスクではもう並んでいるかも知れない。しかし、札幌では土曜にならなければキオスクにも並ばないのである。田舎だなと思いつつ、そう言えば、道北の初任校の町には1軒しか書店はなかったけれど、そこには「フライデー」が火曜の午前中に並ぶのであった。遅れる格差社会、北海道。



週刊新潮 2月12日号に曰く、
心に魔物を育てた老女殺害「名大女子学生」19歳の履歴書
   ツイッターに「酒鬼薔薇君、大好き♪」「少年法マンセー!」 

 記事は、女子学生の経歴や家族について取り上げた特集。週刊新潮編集部は「事件の残虐性と重大性に鑑み、19歳という年齢なども総合的に勘案した上、顔写真と実名を報道しました」とのコメントを出した。  (毎日新聞/2015年02月04日 19時53分)


こんな小手先のことを繰り返し、一向に変化は見られず、犯罪少年の自立、再生に賭ける少年法を、改正せよとお騒がせなことをしている、これまた少年がいた。致死であろうと、殺したのなら覚悟せよ、だと思うのですが。

言えることは、絶対に被害者にはならないでおきたい、と言うこと。ほぼ確実に泣き寝入りですからね。加害者はいつでもワケありで、責任能力も無い。周囲を観察しながら、歩く。危険を察知しながら歩く。調子こかずに、イキがらずに、遠慮がちに歩く。残り少ない人生、貴重なのですから。



東野圭吾にハマって 30   [東野圭吾]




東野圭吾にハマって 30
『片思い』 東野圭吾/文藝春秋 (2001年 3月30日 第一刷発行)
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最後かも知れなかったけれど、踏みとどまった。
まだ暫く、東野圭吾を読むかと思った一冊でした。
ただ、テーマは重かったですね。重い。思いは片思い。重い。
やっぱり、チカラのある作家ですね。

p208
性同一性障害という言葉がどれほどポピュラーになろうとも、偏見がなくなったわけではない。いやそもそも、「障害」という言葉を使っていること自体、根本的におかしいのだ。

p314
殺人事件の遺族が、しばしば口にする台詞だ。被害者の権利保障が叫ばれて久しいが、現実には何も解決していないらしい。


人権だとか、人権意識だとか、考えた作品だった。
しかし、なかなか、「受け入れる」という作法が、できはしていない。
色眼鏡で、ことごとくを見ている自分を自覚している。

ものごとを、素直に、公平に見る「眼」を持ちたいものだ。
そういう話を、絶対恩師・上迷に教えられ語られて、ずいぶんと時間が経った。



東野圭吾にハマって 29   [東野圭吾]




東野圭吾にハマって 29
『ゲームの名は誘拐』 東野圭吾/光文社 (2002年11月25日 第一刷発行)
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帯(腰巻き)に言う。
   前代未聞の誘拐小説!
   事件は犯人側からのみ描かれる。
   果たして警察は動いているのか?

例によって、どちらかと言うと、独りよがりの饒舌体。
これを終えて更に面白くなければ、東野圭吾とはお別れしようと思った。
あり得ない偶然が頼りのストーリー展開では困る、と思いながら読み進めた。

では、結果はどうであったか。
最後に、そして最後にもう一度、ひねりあり。
かろうじて、「うん、なるほど」と感心する。
手口あり、東野圭吾との縁、繋がった。
もちろん、人には読むことをススメはしない。




東野圭吾にハマって 28   [東野圭吾]




東野圭吾にハマって 28
『秘密』 東野圭吾/文藝春秋 (1998年 9月10日 第一刷発行)
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講談社文庫から『東野圭吾 公式ガイド』という本が出されている。
発行は2012年2月15日である。
前年度までに発行された作品が対象の本であろう。

そしてそこで読者1万人で選んだランキングが載っているのだ。
第1位が、『容疑者Xの献身』
第2位が、『白夜校』
第3位は、『流星の絆』
私の中での第1位は、『ナミヤ雑貨店の奇跡』だが、2012年3月30日発行ゆえ、対象外だった。
何と言っても、これが我がイチバン。

さてそのランキングで、今回読んだ『秘密』は第7位である。
『時生(トキオ)』が、第9位であるにも関わらずだ。
私にとっての『秘密』は、あまり評価が高くなく、私の現時点でも20位を越えている。

おそらく東野圭吾の、「饒舌体」と私の名付ける文章スタイルを取った作品だ。
『夜明けの街で』で感じた、独りよがりな文章。
勝手に思い過ごして、勝手に納得し、妄想と暴走、自己完結。
そういう、外界との接点よりも、主人公の内面だけで語られる、独白傾向の文章。

この饒舌体で書かれると、客観的な事実すら、主観的になるという錯覚を誘発。
おかげで、ある角度が隠されてしまうのだけど、それをこの作品で使われるともどかしい。
妻と娘の片方が死んでしまって、う~ん、う~ん、そうなるかな、と随所で思った。
むしろ、筒井康隆の着想に似ていたけれど、方向が、陳腐に結末してしまったと思う。

残念な一冊だったと思う。
そろそろ、東野圭吾を離れる日が近いのかも知れない。
と言いつつ、まだ買い取った古本が、た~くさんあるのだった。
めげずに、次に進む、ファイト!



東野圭吾にハマって 27   [東野圭吾]



【備忘録】 シリーズ作品/ガリレオシリーズ
  1.「探偵ガリレオ」
  2.「予知夢」
  3.「容疑者Xの献身」 
  4.「ガリレオの苦悩」
  5.「聖女の救済」
  6.「真夏の方程式」
  7.「虚像の道化師」
  8.「禁断の魔術」


まずは腕力で、「ガリレオ・シリーズ」を読破。
どちらかと言うと、意地で読み切ったという感じでした。
この方の筆の醍醐味は、やはり、短編ではなく長編にあると思います。

二度と読み直さないという基本路線は変わらず、TVドラマを楽しむように読み終える。
そうなると、長編が面白いのでした。
おそらくこのシリーズに短編が多いのは、TVドラマの原作にするためだったのでしょう。



東野圭吾にハマって 27
『探偵ガリレオ』 東野圭吾/文藝春秋 (1998年 5月30日 第一刷発行)
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p235(第四章「爆ぜる」)より
「あなた何かスポーツしますか」
「柔道を・・・」
「それならわかるでしょう」と木島は言った。「いかなる理由があるにせよ、エントリーを忘れるような選手は試合に出るべきではない。また、そんな選手が勝てるはずもない。学問も、やはり戦いなんです。誰にも甘えてはいけない」


湯川学の初登場作品だが、やはり、まだまだ魅力に欠けている。
シリーズ8作のうち半分が短編集という難がある。
長編が楽しいので、今後は長編に専念して楽しむ。

しかも、ガリレオシリーズは暫く書けないと思う。
2012年の第8作が最後かも知れず、トリック紹介物だから、量産は不可能ということ。



東野圭吾にも、ファイト
私は、ひたすらこの一週間を忙殺され、突っ走る。



東野圭吾にハマって 26   [東野圭吾]



東野圭吾にハマって 26
『トキオ』 東野圭吾/講談社 (2002年年 7月18日 第一刷発行)
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東野圭吾の作品を読んでいると、必ずイライラすることがある。
時折、登場人物の中に優柔不断で、素直でなく、物わかりが悪く、猜疑心が強く、鈍い奴が出てくる。主人公だったりすると、物凄くイライラし、もーって腹が立つこともある。

しかし、物わかりの良い素直な主人公だったら、すぐに解決して終わってしまう。
そういうイライラさせる人物のおかげで長編が成り立っているのかも知れない。
だから、文句は言わないのである。

福岡のJR、西鉄、地下鉄移動を中心に読み終えたのであるが、楽しかった。
路線としては、筒井康隆の『七瀬ふたたび』や『時を駆ける少女』みたいなものかな。
東野圭吾の『ナミヤ雑貨店の奇跡』を超えることはない。

ボクを生んでくれてアリガトウ。生まれてきて良かった。
役に立ちたい。人生には意味がある。
そんな陳腐なメッセージも聞こえてきましたね。
でも面白かったし、お気に入りです。

さ、次だ次。




東野圭吾にハマって 25   [東野圭吾]




【備忘録】 シリーズ作品/ガリレオシリーズ
  1.「探偵ガリレオ」
  2.「予知夢」
  3.「容疑者Xの献身」 
  4.「ガリレオの苦悩」
  5.「聖女の救済」
  6.「真夏の方程式」
  7.「虚像の道化師」
  8.「禁断の魔術」



東野圭吾にハマって 25
『禁断の魔術』 東野圭吾/文藝春秋 (2012年年10月15日 第一刷発行)
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ガリレオシリーズでなければ読まなかった、短編。
これで、ガリレオも、残す所あと1冊、始まりの刊である。
いずれ、やがて、読み終えることでしょう。
そして、このシリーズこれが最後かな、あるいは、しばらく出ないかな。

きっとテレビ用に短編で核を作って、あとは脚本家に任せてTVドラマを作っているのでしょうか。
そういう感じがする、どちらかと言うと、あらすじ用みたいな作品たちだった。




第四章 猛射つ(うつ)
p179
「オリンピックが良い例だ。ただ身体を鍛えるだけでは勝てない。健康管理にトレーニング、テクニック、戦術、道具、スパイク、水着――スポーツ科学を極めた者にしか勝利は与えられない。根性論や精神論なんてナンセンスだ。いや、精神さえも突き詰めれば脳科学の話だ。逆に言えば、科学を味方に付けた者は無敵だ。どんな夢さえも叶う」





無っ茶苦茶、忙しい毎日である。

ちょっとストレスがたまり始めている。

めっちゃん眠いが、オレ、ファイト!




東野圭吾にハマって 24   [東野圭吾]




【備忘録】 シリーズ作品/ガリレオシリーズ
  1.「探偵ガリレオ」
  2.「予知夢」
  3.「容疑者Xの献身」 
  4.「ガリレオの苦悩」
  5.「聖女の救済」
  6.「真夏の方程式」
  7.「虚像の道化師」
  8.「禁断の魔術」



東野圭吾にハマって 24
『虚像の道化師』 東野圭吾/文藝春秋 (2012年年 8月10日 第一刷発行)
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おそらくテレビドラマ用のアイデア集のようなモノだろうか、短編集。
4つの短編から成るのだけど、厚みがないのは否めない。
帝都大学理工学部物理学科准教授、湯川学が好きだから短編でも読むのである。
やはり東野圭吾は、短編の名手ではなく、長編こそ醍醐味があるのだが。

第二章 心聴る(きこえる)
p119
「誰も思いつきだけで答えを出そうとは思ってませんよ。現象を分析するには、すべての可能性を探る必要がある。つまり誰かがアイデアを出した場合には、とりあえずはそれを尊重しなければならない。検証することもなく、ただ自分の考えや感覚と合わないからというだけの理由で人の意見を却下するのは、向上心のない怠け者のやることだ」
「怠け者?」北原は物理学者を睨みつけた。
「そう、怠け者だ。人の意見に耳を傾け、自分のやり方が正しいのかどうかを常にチェックすし続けるのは、肉体的にも精神的にも負担が大きい。それに比べて、他人の意見には耳を貸さず、自分の考えだけに固執しているのは楽だ。そして楽なことを求めるのは怠け者だ。違いますか」


まあ、こんなセリフ、長すぎるけれど、ピシッと引き締まるんだよね。
論理的だよね、セリフが、こういう役回りの湯川学が興味深い。
謎めいているところが魅力なのだけど、作品を重ねるごとに、神秘性は消えていくもの。
あまり大量の長編は作れないように思うのだ、ガリレオシリーズに関してはね。



10年ちかくぶりにインフルエンザの予防注射に行った

昔、トップアスリートを狙う娘を守るため、彼女たちだけではなく親も予防接種は当然だった。
「狙う者」とその家族には当然の義務であろうし、罹患しては大変な目に遭うのだ。
次女と三女が連続して罹患したことがあって、体の芯から体力が奪われてしまうようだ。
およそ1ヶ月を棒に振る経験をしているので、予防は義務だ。

じゃあなぜ今、私が予防注射を打ったのか。
そりゃあもう、覚悟があり、決意があるからだよ。 ファイト!



東野圭吾にハマって 23   [東野圭吾]




東野圭吾にハマって 23  
『流星の絆』 東野圭吾/講談社 (2008年年 3月 5日 第一刷発行)
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やっぱり彼には長編が似合う。
図面をシッカリと書き、構成と人間関係と小道具と揃え、アウトラインを描き、伏線を用意する。
人物描写を重ね、矛盾が出ないように綿密に書いていく、冗談交じりの視点も入れて。
私自身の中では、第3位かな、長い時間軸で綿密に書かれると、人物が面白い。

そんな兄妹いるわけないよ、では済まないように、トリックとストーリー展開。
もちろんハラハラ、ドキドキも用意されている。
登場人物に、答えは見えてんだから、黙れ信じろよって、もどかしく思うのは作者の筆に乗った証。
でも、かなり初期の段階で、私、犯人を当てています、むっふっふ。

読者ランキングではこの作品が3位で、2位に『白夜行』が位置しているけれど、私は逆順になる。
本作の良い所は、最後に解決編めいた部分があり、ハッピーエンドではないがすっきり感がある。
重いテーマでドロドロしているけれど、少しばかりすっきり感がある方が、純なボクは好きだな。
面白い作品だったので、湯川学でも加賀恭一郎モノでもないけれど、娘に勧めるかな。

最後の方に、加賀と草薙が登場したのは作者のサービス精神であろう。
ぶっちゃけ、関西人のココロよ。





『東野圭吾 公式ガイド』(2012年2月15日 第1刷発行)という本が、講談社文庫から出ている。
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東野圭吾作家生活25周年祭り実行委員会 編とある。
タイトル下には、読者1万人が選んだ東野作品人気ランキング発表となっている。
その上位3作は、『容疑者xの献身』、『白夜行』、『流星の絆』、の順となっている。
私の中では、『ナミヤ雑貨店の奇跡』、『容疑者xの献身』、『流星の絆』、の順となる。
笑うしかないけれど、1万人が選んだ上位10作中、未読は後2冊となってしまっている。


突き進むしかない、ファイトだぜ!





東野圭吾にハマって 22   [東野圭吾]



今日は午後の便で大阪に帰る。
新千歳空港で、母の好きなタラバ蟹弁当を買って帰る。
楽しみにしているという期待に応えうる弁当だと思う。
贅沢に、オレの分も、買っちゃうかな。


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【備忘録】 シリーズ作品/ガリレオシリーズ
  1.「探偵ガリレオ」
  2.「予知夢」
  3.「容疑者Xの献身」 
  4.「ガリレオの苦悩」
  5.「聖女の救済」
  6.「真夏の方程式」
  7.「虚像の道化師」
  8.「禁断の魔術」



東野圭吾にハマって 22
『聖女の救済』 東野圭吾/文藝春秋 (2008年年10月25日 第一刷発行)
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内海薫が草薙俊平に対して露骨に敵愾心を燃やす。
こういう可愛くない女性後輩の可愛さが、上手に描かれていると思う。
ただ、草薙俊平の、被疑者への露骨な好感はいただけない。
真っ直ぐ、純情に正義感を燃やして貰いたい。

一つのトリックが重要なポイントとなる。
奇跡に近い可能性は、さすがに湯川学を迷わせたが、面白い視点だった。
計画殺人の、完全裏をかいた計画が面白かった。
なるほどということ。

ガリレオ・シリーズも残す所あと3冊。
3冊とも短編集だから、ドラマ用原作なのだろうが、通勤電車で終わってしまいそうだ。
ガリレオ・シリーズで長編の量産は難しそうで、しばらくこのシリーズでは長編が楽しめない。
長編こそ東野圭吾の醍醐味なんだが、仕方がない。