ちょっとしたこと [考え方]
「おはよう」「おねがい」「ありがとう」「ごめんね」
ちょっとした一言だけど、私はなかなか言えない人間だった。
男は黙ってサッポロビールの時代に、厳格な父の家庭で育った。
親が悪いとも思わないし、発想の貧弱さを嘆いても仕方がない。
環境に左右はされるが、自分は自分の価値観を育てていく。
ちょっとしたことに意志を貫く妻と出会って、大きく影響を受けた。
妻と出会い42年、彼女が「ひとこと」を省略することはなかった。
私はきっと無愛想だったのだろうが、根気良く挨拶する人間に変えられた。
おそらく私にも、ちょっとしたことに目が行き届く能力があったのだろう。
人並みの人間にしてもらえて嬉しく思っている。
天邪鬼と言う、クソみたいな人間だったとしても、正直者に脱皮した。
浄化して良い人に見えるようになれば、シメたものだ。

1992年9月2日(水)の写真である。
三女はまだこの世の者ではない。
次女はもうすぐ1歳になる頃だと思う。
次女が長女の肩にそっと手を置いている。
座り方とイイ、左肘の置き方とイイ、ポーズ、もうお姫様です。
その中で、姉の肩に手を載せるその姿の優雅なこと。
ちょっとした仕草で、女は男を惑わし、娘は父を悩ませる。
犬が尻尾を振る時、駆け引きはしていないと思う。
小さな子どもも、あざとい計算はしていないだろうが、父は溺れる。
ファイト!