『護られなかった者たちへ』

　北海道・旭川市の女子中学生、廣瀬爽彩さんがイジメを苦に今年2月に命を絶った事件。今月18日には爽彩さんの母親が綴った手記が公開され、学校と旭川市教育委員会のあまりに杜撰な対応が波紋を呼んでいる。（2021.08.19 20:05／ Business Journal ）

「10人の加害者の未来と、1人の被害者の未来、どっちが大切ですか。10人ですよ。1人のために10人の未来をつぶしていいんですか。どっちが将来の日本のためになりますか。もう一度、冷静に考えてみてください」　 （旭川市の中学校教頭の弁）

「子どもたちに囲まれ、ウッペツ川に飛び込んだ事件の後、爽彩の携帯電話に、いじめを受けていることを示す履歴があることを学校に知らせ」（手記より）たものの、学校の教頭から上記のような言葉を浴びせられたという。






『護られなかった者たちへ』　中山七里／宝島社文庫（2021年8月24日 第1刷発行）

新聞広告を見ていて、阿部ちゃんとタケルくんで映画になるんだと思った。
売り込みの文句が私を誘惑し、この作家を知らないでいたが読もうと決めた。
“どんでん返しの帝王”が日本の社会福祉制度の限界に挑んだ問題作！

推理小説ではないのか、よくは分からない。
それでも謳い文句の「どんでん返し」はそういうことか、うすうす気づいたけど。
それでもよくできた小説で、ちょっと読み込んでしまった。

アッシー君をやりながら、義母様の病院通いに付き合いながら、読んだ。
社会派推理小説と言うのかな、現代の闇の部分にも切り込んでいた。
伏線は張られていて、終盤で世界観が変わるのは、良い、やっぱりなと得意になる。

読み終えて思ったこと、映画では阿部寛は刑事・笘篠の役だろうな、合う。
佐藤健は刑事の相棒だけは絶対にダメ、刑務所帰りの容疑者役であってほしい。
容疑者・利根を主人公に据えて、佐藤健の熱演を期待する。

と、ネットで見れば予告編（60秒）があった。
やっぱり佐藤健が容疑者だな、阿部ちゃんは刑事、おかえりモネの清原果耶は何かな。
倍賞美津子をそこに配したか、桑田佳祐の音楽も売りになるのか、映画も見るぞ。

たまたま読んでいた文庫と、旭川の女子中学生の事件が重なってしまった。
無神経な言葉が発せられて、いじめで自殺した少女が再び殺される。
教頭よ、オマエも親だろ違うのか、子を持つ親の立場で考えろ。

事件や事故で人が死に、残された親族は、なぜそこに至ったかを知りたい。
ましてや、学校での虐めで、自殺であろうが死に至った子の親は、神経もやられそうなの。
そういうことに配慮できないバカが管理職をやると、また被害者を生むのね。

少子化対策と言い、それなら妊婦さんを最優先で守れよ。
子どもを増やす必要があるなら、妊婦さんを不安がらせるな。
少子化に手を打ちたいなら、妊婦になれば優先的に安全だ、ぐらいの保証を。

千葉県柏市、行政が、赤ちゃんを一人殺したんだろ。
病院がなく、自宅で出産？　助産婦さんでも付けたのかな。
若者が子どもを産みたいって思える環境かよ、最優先事項なんだよな。

妊婦になればこんなにお得、それが少子化対策だけどな。
コロナ下で露見してきたのは、弱者と若者を置き去りにする政策。
無神経な言葉で人を切り捨てる窓口、教頭、医師会。

自分の身は自分で守るしかない。
それでも、どうしても無理な人が増産されてきている。
絶対的に弱い人を見殺しにする側にはならないと、たかが文庫を読んで思っている。

ファイト！

コメント 13

「護られなかった者たちへ」
是非、読んでみたいと思います。
コロナ渦の中で少しずつ世の中が荒んで行っているような
肌合いを感じています。
こういう時こそ「出番」じゃないのかなぁぁ。。
by 向日葵 (2021-08-22 03:05) 

中山七里さんはデビュー作の「さよならドビュッシー」を読んで、その後の作品は読んでいませんでした。
最後のどんでん返しが、それはあかんやろと納得できなかっただけのことでした。
と云うことで、この作品も読んでいません。
納得できる視点とどんでん返しがあればいいのですが、さて。
読者としてはへそ曲がりで天邪鬼な僕、ミステリーとして素直に騙されることを楽しめばいいのに、です。
ミステリーは娯楽ですから楽しめますが、旭川のいじめ事件は現実の事件ですから楽しめません。
楽しむどころか、学校側と教育委員会の言動と思考回路には腹が立つを通り越え、こんな奴が教育者になっている現実に恐怖すら感じてしまいます。
加害者たちの少年に人間の残酷さをあらためて見せつけられてしまいました。
名古屋入管での事件にも共通する人を人として思えないほどの接し方がまかり通るこの国です。
ミステリーよりはるかに恐ろしい現実があるのがこの国です。
まったく関係ありませんが、この映画にも出演している林 遣都さん、やんごとなきお方の婚約者と同じ雰囲気の顔やなぁと勝手に思っています。
目まで天邪鬼になって来たのか、さて。

by あるいる (2021-08-22 03:30) 

報道、メディアはコロナの人数ばっかりに焦点をあてないで、旭川、入管、柏市の妊婦さんの事件などを深掘りしてもらいたいな。
モリカケや桜を見る会はいつの間にか萎んでいきましたからね。
by HOTCOOL (2021-08-22 06:56) 

不安だらけの世の中で、子供を産みたい！育てたい！と思わないよね。結婚して3年、我が息子たちも2人とも子供を持ちたいとあまり思っていないみたいです。いても一人でいいと言ってます。特典がなく、不安だらけだと産むという選択は無いと思う。
by mutumin (2021-08-22 09:01) 

10人の加害者に未来なんかあるのでしょうか。
偏見を覚悟で書きますが、
どうせこの先、
また似たような事件を起こす可能性が高いと思います。
未来どころか、
害にしかならない。
by 青山実花 (2021-08-22 09:50) 

二人の共演は朝のTVで小耳にはさんでいましたが、こういう事だったのですね。原作を読んでから劇場へというのがひとつのパターンとなっていたマイ邦画鑑賞、今回はさて、どうしようかなです。
連日の感染者救急たらい回し報道は、コロナに感染したら覚悟しておきなさいと、最後通牒を突き付けられているようで抵抗があります。某野党現職議員が友人のコロナ搬送を恫喝して強要したという記事のヘッドラインを見ましたが、続報はどうやら闇に消え去ったようです。人民に選ばれし各種議員先生方のお仕事なんですがやれやれです。さて、即日開票の横浜市長選挙の結果ですが、日付が変わっても当確は出てこないのかなというところでしょうか。

by Lonesome社っ長ょぉ〜 (2021-08-22 18:08) 

いじめ　
人間の感情がある生き物である限り
永遠になくならないものだろうけど…
集団で個に対する思慮がない行動に本当に腹が立つ
僕はいじめが大嫌いで　
そういう現場を見てしまうと必ず擁護する側に立ちます
正義感でもなんでもない
ひとりひとりが幸せでいることを望みます
愛溢れる世界がいいです
by snow (2021-08-22 22:54) 

妊婦さん、これからの日本を支えて行く子ども・若者
もっと守って上げて欲しいけど、政治に興味がない人間に育ててしまった教育から徹底的にやり直さないと駄目ですね
政経、歴史の教科書、最後の方になると「自主学習」させた先生
国旗掲揚に座ったままで背を向けていた先生
その先生方に授業を受けた私達の子どもたち
選挙にも行かなくなりますよね
鴨川のミーアキャットはとても良くなついててお利口でしたよ＾＾
賢く育てれば賢くなるんですね、砂漠の生き物も
by viviane (2021-08-23 14:04) 

この映画はスタッフとキャストでとても期待しています。
私は映画を観てから原作を読む派なので、文庫本は入手しましたが
未読のまま我慢しています(^^ゞ
やはり公開したら観なくては☆
by non_0101 (2021-08-23 19:09) 

守られた10人は、なにか感じてるのでしょうか？
繰り返していないことを願います。。。
by ちょろっとぶぅ (2021-08-24 12:12) 

10人の加害者と1人の被害者・・・
教頭先生には見えていないだけで、本当はもっと被害者がいるかもしれないですよね。
by Inatimy (2021-08-24 23:58) 

子は国の宝...と言われた時代もありましたが、それは今でも同様。ただ重要度は増しています。「妊婦になればこんなにお得」....そんな政策が欲しいですね。もっとも産業界を代表する議員達には票にも儲けにも成らないでしょうから、やる気は無いのでしょう。旭川の住民にはすみませんが、医大学長の暴言もありましたね。教頭は自分の役職をもっと理解して欲しかったです。授業の勉強だけでなく、一人の命の大切さを「教」える先「頭」にも立っていることを。
by yokomi (2021-09-02 14:13) 

私も、テレビでこの教頭の弁を読んで、激しく憤りました。
なんていうことを言うやつだ。
人の心があるのかと！
by まほ (2021-09-18 23:00)