SSブログ

hero   [@Home]


2021年1月14日 木曜日のこと


走り高跳びでベリーロールという跳躍方法がある。
私は高校時代、背面跳びで身長ほどの高さを跳んだ。
これは走るのが速かったと言うのと同じくらい、無意味な話である。

先日、拙宅のバルコニーにある1m40のフェンスを跳んだ。
バルコニーの広さは30畳ほどあり、助走も可能だった。
ただ、高齢者と呼ばれるオヤジのベリーロールは、無惨なものだったと思う。




AA4I0261.JPG



ちょうど株式の前場が終わり、半導体関連株のチェックをしている時だった。
フェンスの向こう側をゆらゆら揺れながら、義母様が移動していく。
毎日のトイレにもぎこちなく歩く人が、滑るように進む姿に違和感があった。

ろくに歩けない人がフェンスの外側を、動く歩道のように移動する。
歩いているとは思えないスピードで、飛び降りる!、、と直感した。
書斎から飛び出し、全力で駆けてフェンスを跳んだ、、、つもり。

義母様が、足から飛び降りようとする寸前、腕をつかんだ、と思う。
気が付いた時は私も倒れ込み、義母様をつかんでいた。
しなせて、ころして、江戸川に投げ込んで、と言う。




AA4I8609.JPG



何が起きているのか分からなかったが、血がボタボタ落ちていた。
義母様を傷つけたかと思ったら、私の血であった。
しばらくの後、左ひざ、左手、指、右ひじに痛みが生まれた。

義母様の頭の下に右足を入れ、まくら代わりにした。
ころして、寒いと呻く応酬に、私のもふもふの上着をかけてやった。
半袖になる身には寒いのだが、義母様をさすりながら、呆然としていた。




DSC00389.JPG



レントゲンでは骨の異常はなかったが、全身打撲だった。
痛くて立ち上がれなかったし、義母様を抱え上げることもできない。
妻の帰宅を待つのは、実に寂しかった。

バルコニーのへりに腰を掛けて、フェンスの外側から景色を眺めていた。
和室の窓が開いていて、そこからバルコニーに出たのだろう。
しかしこのフェンスを乗り越えるとは、到底、考えられない。

妻は火事場の馬鹿力と言う。
日々のヨタヨタ歩きは何だったのだろうか。
未だに私はびっこをひきながら、手、足、肩の痛みに耐えている。




IMG_0268.JPG



さて、望み通りの結果を義母様が手に入れていたら。
対応が1秒遅れていたら、彼女は飛び降り、私は心に傷を負っていた。
彼女の企みを阻止する親不孝者だが、自分の心に負い目を持たずに済んだ。

1週間の痛み止めを頼りに、しにたいの念仏に付き合おう。
バルコニーで義母様に般若心経を上げたけど、効き目はなかった。
彼女には、しにたいという幻のような信念しかなかった。

パーキンソン病とアルツハイマーと87歳という年齢は、今後、何を起こすのか。
老いては子に従えと教えた人たちが、ベリーロールを高齢者にさせる。
今の私はガタガタだから、次の行動に出られても、ベリーロールは跳べない。

といっても通じないし、暫く見張り役と通報しかできることはない私。
相手は病気だから仕方がないし、恨みもせず、ただ、困っているだけだ。
今の救いは、経験者の個別体験を読ませてもらう、それが唯一の助けかな。




ファイト!





ファイト!(133)  コメント(29) 

ファイト! 133

コメント 29

(。・_・。)2k

良かった 怪我ですんで
心の怪我だと治りが悪いですからね
痛み止め飲んで我慢して下さいね
今回の怪我は勲章です

by (。・_・。)2k (2021-01-17 01:37) 

shiho

打撲…!
とっても痛そうです!
お大事になさってくださいね。
by shiho (2021-01-17 05:51) 

ゆうのすけ

何かお手伝いしてあげたい気持ちでいっぱいです。
しかし私もこのところちょっと音を上げてしまいそうな感じです。
私の親も 物忘れがやや進んだのか 新規に覚えることが難しく
なったのかよく判らないのですが 毎日電話をかけてきて
どうしたら良いのか不安に苛まれているんですね。(今年で75になります。)昨日は一時間おきに4~5回くらい電話がかかってきて
不安の波がかなり大きかったようです。明日は他院に通院するので
付き添いで出かけますが 今さらながらどう対処すべきか
どうしたら不安を解消できるだろうかと自問自答するばかり。
プロでさえ その対処の先が見えないと話を聞き 濁されちゃったことも多々。そんなときにtommy88さんのアイコンを思い出したんですよ。同じような目標に挑んでいる方がいらっしゃる。私はそれがとても力強いです。今記事を拝見させていただいて 心が凄く痛み共感しました。私の親も同様の言葉を発することが幾度かあります。これからどうすべきか 親は前向きに考えを転換させられるか 私にもまたハードルが見えてきました。tommy88さん お怪我の具合いかがですか。私の膝の原因もまた介護によるものなので同じだったりします。そしてお気持ちをお察しいたします。
このような時はどう言葉をかけたらいいか判りませんが いつものファイト!を私もつぶやきたい!☆彡
義母さまにとっての何か良い方法が見つかりますように!☆彡
by ゆうのすけ (2021-01-17 06:12) 

mm

おはようございますーー
大変な経験ですね。なんだかお義母様の気持ちもわかるけれど、周りの人には大変な試練。見張りが大変ですね。わたくしも舅を看ている時は行動を陰で見守っていました。しんどい仕事でした。
何にもお役に立てませんが、ご健闘を祈ります。
by mm (2021-01-17 06:20) 

あるいる

140㎝のフェンスを飛び越えられたのはさすがです。
これもまた火事場の馬鹿力なのかも知れませんが、よくぞ気づかれたものですよ。
全身打撲で痛み止めを飲んでいても、ママさんにはheroのtommy88さんです。
本気になればどんな方法でもとれるのが自死ですから、ますます目が離せなくなり負担が増えますので体調には気をつけてください。
by あるいる (2021-01-17 06:48) 

コーヒーカップ

大変でしたね。
何というか、どう言葉をかけていいか・・・
両親は私にあまり負担をかけないで逝ったので、こう言うご苦労は計り知れないと思いました。

by コーヒーカップ (2021-01-17 07:16) 

親知らず

亡父も晩年は「死にたい」が口癖でした。
でも本当は死の恐怖と闘う事をやめたかったという意味だったと思います。
どうやったら楽に死ねるか、僧侶になった旧友に聞いていたと告別式で聞きました。
by 親知らず (2021-01-17 08:44) 

mutumin

家も火事場の馬鹿力だと感じる事をやっていた事があります。自分でも運べない物を移動させるのですから・・・
助かった事は家の母の場合は障害者という事もあり、動、植物的な生命力があるので、死にたいとか思わなかった事。訳のわからない事はしたリ、言ったりするけど、幼女のように可愛い純な所があったから、救われました。死にたい!とか言われると身内の物は辛いですね。いつも見守りが必要な事態ですから、身内意外に協力頼む必要がありますよ。
by mutumin (2021-01-17 09:23) 

まいく

家の鍵を内側から開けにくい構造に替え、母の俳諧行動を阻止できたと自己満足していましたが、後から色々学んだ結果、なぜ徘徊に付き合ってあげなかったのかと一緒に散歩すれば良かったと時々思うことがあります。 義母様とは比べられないかと思いますが、可能な範囲で気持ちに寄り添う行動をとることが事態の改善に繋がることもあるかも知れませんね。
by まいく (2021-01-17 09:42) 

わたし

認知症の母の介護をしていました。
認知症だと「これやったらだめよ」と何回言っても砂上の楼閣
強く言うと怒り出す、おむつを取り替えても怒り出す。
動き回る。それなりに大変でした。
寝たきりでも「ありがとうね」と判断できる人の介護なら楽なのに。
と思っていましたが、認知力のある方の介護だって、はかりしれない大変さがあると、tommy88さんの記事で知りました。
子供にかえっていく母よりも精神が壊れてしまう、こちらの方が危険度が高いです。
でもよい婿殿をもった義母様がうらやましい。

by わたし (2021-01-17 09:46) 

とし@黒猫

パーキンソン病だったら、レビー小体型認知症ではないでしょうか。
これは脳の中枢をおかしくするので、悪夢や幻視が現れて奇行に走りやすいようです。
そういった症状に効く薬もありますので病院で相談されてみてはいかがでしょうか。
by とし@黒猫 (2021-01-17 10:04) 

yoko-minato

つらい体験でしたね。
どんな言葉をかけたらよいのかと。
私も高齢の片隅にいます。
せめて自分のことは自分でできるようにと
努力していますが病気はつらいです。


by yoko-minato (2021-01-17 10:13) 

ちょろっとぶぅ

高飛びの話。ぶぅたんの子供の頃を思い出しながら
ハサミ飛びだった!ベビーロールできなくて。なんて、、、
違った(>∞<)

打撲ですんで、良かったです。
お大事にしてください。
by ちょろっとぶぅ (2021-01-17 11:21) 

raomelon

強い一念は、まさかと思うようなことも引き起こします。
本当に気づかれてよかった…
お怪我はどうぞお大事になさってください。
我が母も93歳、数年前から認知症が進み
昨年6月に尿路感染症で3ヶ月入院、歩けなくなり
退院後は施設に入っています。
甥っ子姪っ子家族が函館在住なので、兄達が出かける時は
私が福島の実家に帰り留守番をしていました。
たかが2週間ほどでも認知症の母との会話は疲れ切って
毎日一緒に過ごしてくれた兄夫婦には感謝しかありません。
一度母がフラッといなくなってしまい
近くに川があるので、万が一があったらと青ざめたことを思いだしました。
父は91歳、会いに行きたくても行けない現状です。
by raomelon (2021-01-17 11:51) 

向日葵

なかなかシビアですね。
介護はどうしても「看ている側が健康を損ねやすい」ので
くれぐれも用心が必要です。
(かく言うワタクシも身体はガタガタですが。。)
お義母様が幸か不幸か「歩ける」のが「看ている側」には
より大変かもしれません。
母は14年前、要介護の身体になって以来、
「歩けない」=「車いす生活」なので、助かっている部分も
多いです。その分大変なところも勿論ありますが。。

母の口癖。
「早くパパのところに行きたい。」(=死にたい)です。
看ている側が一番凹む言葉です。。
by 向日葵 (2021-01-17 11:53) 

八犬伝

大変でしたね。
「死にたい」と口にだして言う人ほど
なかなか、そんな行動を取るものじゃなさそうな気がしますが・・・
本当に、難しいですね。
by 八犬伝 (2021-01-17 12:18) 

non_0101

ご無事で本当に良かったです。
少しでも心が穏やかになる日が来ますように。
by non_0101 (2021-01-17 12:36) 

hirometai

tommy様
大変でしたね。
間に合って良かった。
考える前に体が反応したのですね。
シベリア抑留から引き揚げた認知症の義父を8年ほど見ましたが、死にたいとは一度も言いませんでした。でも、火事場の底力ではありませんが毎日想像もしなかっことが起きて、一時も休まることができませんでした。何十年も前のことで、今のように介護施設などなく、連れ合いは勤め人で自分はタバコ屋と子育てと介護でぼろ雑巾のようになりました。最後は、病院で付添婦を付けていましたが、家事が終わってから夜中は病院に付き添い、朝は子供たちの朝食を作る生活を続け、頭の後頭部が休んでいても常に起きていました。今、思うともっと寄り添ってあげたかったです。
tommyさんも奥様とご一緒に介護されるのは大変かと思いますが、今は、色々な介護の制度がありますのでご利用されるのも良いのではないでしょうか?気持ちだけではどうにもならないことがありますので、ご自分たちの生活を大切にしてください。
お怪我の回復をお祈りしています。
お大事に。
by hirometai (2021-01-17 13:10) 

青い森のヨッチン

うちの母親も義母様と同じ年齢ですね
物忘れが激しく5分前のことも忘れていることがあり毎日大変です。
歩くのが億劫になったとかで徘徊の心配はなさそうですがそうも言っていられませんね
今回の件を教訓にしたいと思います。
by 青い森のヨッチン (2021-01-17 14:06) 

いろは

こんにちは^^
それは大変でしたね。
でも気が付いて良かったです。
姑は腰の具兄が悪くて歩き廻ることは出来ませんでしたが、火の心配はありました。出かける時は元栓を止めて買い物に行きました。
tommy88さんのお怪我は大丈夫でしょうか?
どうぞお大事になさってください。
by いろは (2021-01-17 15:48) 

テリー

大変でしたね。
大事にいたらなくて、幸いでした。
by テリー (2021-01-17 17:14) 

kome

Pretty great!
お大事にされてください。
どちらのわんちゃん?
by kome (2021-01-17 18:19) 

Take-Zee

こんばんは!
訪問いただきコメントありがとうございます!
最近、どうも滅裂で自分でも困っています。
私事ですが昨年9月に愛する妻をなくしてまだ
立ち直れません・・毎日花やと墓参で暮れています。

by Take-Zee (2021-01-17 18:45) 

JUNKO

全身を投げ出してお母さまを支えたのですね。あっぱれ日本男子です。奥様も感謝していらっしゃるでしょう。親孝行をした痛みは少々我慢してください。お大事に。
by JUNKO (2021-01-17 19:35) 

まほ

たいへんなことがあったのですね。
私はさして苦労もせずに、義父母を見送りましたので、
この出来事を拝見して、愕然としました。
とっさによく動かれましたね・・・素晴らしい!
昨日の記事で、施設をご検討とおっしゃっていましたが、
それが一番かも知れません。
動けるお年寄りは、動けない方よりもずっとたいへんです。
by まほ (2021-01-18 00:11) 

yuppie

生きるのも死ぬのも見守るのも大変。
命を守るろうとする行動は健全。
間に合って本当によかった!・・と第三者は
心から思います。 奥様もどれだけ救われたかと。
tommy88さんの怪我の痛み、お母様の心の痛み、
どちらとも早く和らぐことを願います☆彡

by yuppie (2021-01-18 00:56) 

viviane

先生、大丈夫ですか!?
アルツにも色々あるのですね
私の叔母二人、アルツですが自殺とか死ぬとかまで考える事も出来ない重度のアルツです
二人とも昔は学校の先生でした
なので、時々急に授業を始める為学校に行かなくちゃ、と言って徘徊します 飼っている犬の名前もその時々で変わります
娘の事は水野さんになったり横江さんになったり・・・
家族で診る・見守るには心身の限界もありますね
アメリカの従妹の家、叔母の部屋には監視カメラを付けお手伝いさんも常駐、どこにいても(来日した際も)スマホで叔母を監視していました いつも一緒にいる家族が1ヶ月以上家に居ない事も認識出来ないそうです
義母様、パーキンソン病もあるとの事
入られるのは医療付きの施設ですか? 

by viviane (2021-01-18 16:34) 

einstein

先生よくお気付きになられましたね。ご心労お察し申し上げますが、今の私に出来ることは先生を励ますことだけです。ファイト!
by einstein (2021-01-18 17:15) 

yokomi

間一髪でしたね(^_^)v 男は体力勝負です。私はダメですが(^_^;)
我が母が「ころせー」っと叫び続けたのは全介護になってから。徘徊することも無く、その面では息子孝行でした(^_^)v 自宅での介護は大変でしたが(^_^;)
by yokomi (2021-01-26 23:05) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。