上迷まであと10年 [ひと]
もうすぐ絶対恩師を亡くして一年になる。生きていれば同じ当たり年だから、来年彼は72歳、おいらは赤いチャンチャンコだった。しかし彼は去年、時計を止めてしまった。
死の直前に見舞いに行き、末期ガンの病棟で延命拒否も彼らしくて理解できることだった。限定的な面会時間ではあるが、2日続けて見舞いに行った。東京は杉並の不便な場所だったが、しょっちゅう遊びに行った彼のマンション近くの病院だった。
見舞いの2日目は帰る時、ちょうど配膳の時間だった。北海道で贅沢に過ごす私からすれば、運ばれたサンマは、どう見ても「干物」にしか映らない代物だった。醤油も減塩で、味がしないと言っていた。味のする秋刀魚を食いたい、彼がそう言ったのは、頭にこびりついたままである。
ワケありの、苦学生だった私を勉強以外でも面倒見てくれた。ある一時期は、ほとんど毎日一緒に過ごしていたのだけど、ほとんど全部奢って貰っていた。喰わせて貰っていた。哀しいくらいに、喰わせて貰った思い出しかない。
今が旬の秋刀魚、できるだけ食べるようにしている。脂ののった旨い秋刀魚を、骨も遺さず食べるようにしている。絶対恩師が食べたいと言ったモノを遺言であるかのように、食べまくっている。
ひもじいということではなく、彼の食べられなかったつらさを噛みしめている。
いつでもオレは卑しん坊
だから今日もファイト
2013-10-29 04:00
ファイト!(100)
コメント(9)
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食べたかった人を思って食べる。捕った人、育てた人、運んだ人、調理した人を思って食べることに通じますね。
by muk (2013-10-29 04:38)
上迷先生が亡くなって1年経つんですね。
tommyさんと上迷先生の濃密な関係は
ちょっとうらやましくもあります。
by cafelamama (2013-10-29 05:13)
もう一年・・・・・。
思い出してこうやって話す事が供養です。
食べ物にまつわる思い出ってけっこうあるよね。^^
by hatumi30331 (2013-10-29 07:40)
延命治療も断っている患者さんに、
食べたいものを食べさせてあげない病院って・・・・
それぞれの考え方があるのでしょうが、
私は父に、希望通りのことをさせました。
今でも後悔はしていません。
by Rchoose19 (2013-10-29 07:48)
否応なしに別れは来ますね。
by Silvermac (2013-10-29 13:51)
いつの日か、食べたいものを普通に食べられない日が僕にも来るのでしょう。
それまでは、普通に普通のものを美味しく頂くことにいたしましょう。
ときどき、ちょっとだけ贅沢はしますけれど。
by あるいる (2013-10-29 16:01)
生前の父とのすき焼き問答は以前記事でご紹介しましたが、
食べたいものが食べれなくなった時は、この世にお別れを
告げる時だと決めています。
そのすき焼きをこの間母と二人で食べました。父にはかおり
だけのサービスです。
by Lonesome社っ長ょぉ〜 (2013-10-29 22:54)
最近、病院食は、味付けにも工夫を凝らして、おいしくなっているところも、あるようですが、--。そうでもないところもたくさんあるのですね。
食べられる時に、食べておくという考えもありますね。
by テリー (2013-10-29 23:42)
1年……。
あの時、上迷からtommyにつないでくれて
「ありがとう」とメールきました。
by ムムリク (2013-10-30 06:14)